2007-09-14

三箇牧小学校 児童個人の理解度に合わせた学習


児童の学習到達度は各それぞれ異なり、教師は児童の個々の学習進度に応じた授業を計画していくことが、最近注目されるようになってきました。

とはいうものの、じゃぁ、どうやるんだ?といった時、なかなかその答えを出すことは難しいです。
E-learningやWeb based learningが、児童の学習進度に合わせた学習を提供する、という人も多いけれど、ツールやプログラムを児童に与えるだけで、児童が勝手に学習するわけではなく、もちろん教師の支援やScaffolding(足場作り)は必要不可欠です。

このような疑問に対してヒントを与えてくれる授業実践をまず見学する機会を得ました。

授業は、6年生の算数。授業はコンピュータールームでした。授業は以下の3つのステップで構成されていました。
   1)みんなでスタディ
   2)つづきをスタディ
   3)ひとりでスタディ

1)”みんなでスタディ”は、教師が主導になって全員で問題を解いてみる。いきなり教師が「さぁ、やりましょう」といっても、プログラムの使い方、学習の進め方などが分からないと、せっかくいいプログラムを準備しても、そこにたどり着くことができない。そこで、個々の学習をする前には、その前準備として必ずみんなで一緒にいくつかの問題を解いてみるということです。

2)”つづきをスタディ”というのは、みんなで問題を解いたあと、個々の学習進度に応じて、問題を解いていけるというものです。あらかじめ与えられた質問を、個々の理解度に応じて時間をかけながらすすめていきます。児童の問題を解く様子をメインコンピュータで確認できるため、教師はつまづきのある児童がいれば、そこにいって手助けをします。手助けのいらない児童はどんどん自分ひとりで進めていきます。

3)”ひとりでスタディ”は、すべて問題がとけた児童は、自分が弱いと思うユニットをもう一度繰り返し練習することが出来ます。もちろん、もし5年生の単元で弱いところがあれば、学年を超えてどの学年の練習でもやることができます。児童は自分で何を勉強しなければいけないか内省し、自ら課題をみつけ、それを解いていきます。

この一連の授業をみて、ハムゼは、以下のような質問を先生にしていました。

① これらのデジタル教材は誰が作ったのか?
② どれくらいの頻度でこのようにコンピュータをつかった個別の授業をするのか。
③ このような個別の学習の際の教師の役割は?
④ なぜ、数学は複数の先生がつくのか。
⑤ つまづきのある児童に対する対処は?
⑥ 特に優秀な生徒にたいして、他の学校や他のクラスと競争(Competition)などがあるのか?
⑦ 授業以外の活動に、優秀な生徒が集まって(先生に指名された生徒など)が受けれる特別な授業はあるのか。

①②に関しては、これらの教材は高槻市が提供したもの(インタラクティブスタディ)というもので、教師は、単元が一通り終わると、児童の弱いところを強化するためにこのような個々の理解度に応じた授業をコンピュータルームでするということでした。つまり、Learner Centerをするまえにまずは、Teacher Centerでしっかり基礎学力をみにつけさせる。この点から、のちに、Teacher center と learner centerについてずいぶん議論することになりました。どういう場面で、どの対象にLCAが適応できるのか、LCAをするための前準備は何か、ということです。これについてはまた、報告します。

③④⑤に関して。できる児童は勝手に一人でもどんどん進めていくが、つまづく児童ももちろんいる。其の場合、まずは自分で解決するようにプログラムが促す(問題が解けない場合自動的により簡単な問題に移行するなどする)が、それでも解けない場合、教師が支援する。数学は基本的には、Team teachingであるため、2人以上の先生が児童の学習を支援する。PCルームを使うときは、PCが得意な先生などが応援にきてくれ、3人になることもある。このようにコンピュータルームで個々の理解度に合わせた学習もするが、教室にもどっても、つまづきの可能性がある児童には、レベル別に分けたワークシート(beginner, intermedia, advanced)を配り、つまづいた場面をしっかり乗り越えれるように何度も復習を繰り返し、問題解決をしている。


⑥⑦に関しては、UNRWAとの文化的・社会的背景が違うため、その後校長先生としっかりディスカッションしました。ディスカッションした内容は「Competition」に関する考え方の違いですが、これについてはまた後に報告します。

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